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2015年12月29日 フィリピン・レポート

【コラム】

代表弁護士 中山達樹が,出張でフィリピンのマニラと南部のジェネラル・サントスに行って参りました。

簡単に,南国の風をお届けします。

⑴ マニラ

相変わらずの交通渋滞で,どこへ行くのにも不便を感じます。

先日APECの会議がマニラでありましたが,国賓級のVIPが通るためにどこも交通規制が厳しく,渋滞が尋常ではなかったそうです。

私の友人のあるフィリピン弁護士は,そのAPECの時期のマニラの交通渋滞から避難して,東京に観光に来ていました。「地元民が逃げ出すほどの渋滞」とは想像を絶します。

一方,先日,シンガポールでは,歴史的な中台首脳会談が大きな交通の混乱なく行われました。シンガポールとは異なるマニラのインフラの脆弱さが浮き彫りになりました。

⑵ ジェネラル・サントス

世界的ボクサーで,フィリピンの英雄とも謂われるマニー・パッキャオ氏の37回目の誕生パーティーに招かれ,彼の自宅があるミンダナオ島のジェネラル・サントスという都市に行って参りました。

この市は人口50万人超,マグロが獲れる漁港として有名です。「ツナシティー」という異名を持っています。通常は「ジェンサン」と略称されます。

電車はなく,主要交通手段は,トライシクルと言われる「バイクに荷台をくっつけた三輪車」です。通常の自動車よりこのトライシクルの方が多く走っています。

先週は,気温が45度まで上がったそうです。まさに灼熱でした。

⑶ パッキャオ氏

会う度にいつも思いますが,パッキャオ氏はとても紳士的で,どんな人間にも分け隔てなく,丁寧に接してくれます。

その様子を見る度に,「真に強い人間は優しい」「本当に強い人は強がったりしない」という真理を改めて認識させられます。私も,さらに強く,さらに優しくあらねば,という気持ちを強くしました。

彼はとても敬虔なクリスチャンで,彼の演説には,いつもキリスト教的価値観が色濃く反映されています。フィリピンという国が世界でも有数の敬虔なキリスト教国であるということを改めて認識しました。

⑷ ビナイ副大統領

ジェネラルサントスからマニラへの飛行機では,同じくパッキャオ氏の誕生日パーティに招かれていた,フィリピンのビナイ副大統領と同乗しました。

同副大統領は,マカティ市を発展させた功績のある方です。副大統領とも写真を撮らせていただく機会がありましたが,まことに気さくというか親しみのある方でした。

パッキャオ氏は現在下院議員で,来年の上院議員選挙に立候補します。将来の大統領とも目されています。

現役の副大統領が,誕生日パーティに招かれ,ジェネラルサントスという田舎町まで足を運ぶ,ということから,パッキャオ氏の持つ政治的影響力というか,氏に対する期待の大きさを知ることができました。

⑸ トイレ

トイレを意味する英語は,toilet, bath room, wash room, rest room, gents(男性用)などいろいろあります。

フィリピンでは Comfort Room を略した 「CR」がよく利用されることを知りました。

⑹ 競争法

世界的には,カルテルの予防等のために,競争法(独禁法)が厳しく制定され,施行される状況にあります。

その潮流に乗る形で,今年9月に,フィリピンでも新たな競争法が施行されました。しかし,それを執行する機関がまだ未設置であるため,実際に運用されるのは,来年の大統領選後になるであろうと言われています。

競争法の分野でも,フィリピンはだいぶ遅れているという状況です。

⑺ 射撃訓練

フィリピンはアメリカ同様「ガンフリー」すなわち銃規制の緩い国として知られています。

友人のフィリピン弁護士に誘われ,拳銃,機関銃,ショットガンなどの射撃練習をして来ました。空手有段者である私は,護身術としての空手の威力を強く信じてきましたが,やはり,「飛び道具」の威力は,体感してみると強烈なものがありました。当たり前ですが映画「マトリックス」のようにはいきません。

フィリピンでは,不用意に空手の素晴らしさを過信しないようにします。

2015年12月14日 弁護士加入のご案内

【ニュース】

迫洋子弁護士が当事務所に加入しました。
知的財産法務その他企業法務全般に詳しく,英語も堪能です。

今後とも最高のサービスの提供に向けて,日々精進して参ります。
よろしくお願い申し上げます。

2015年12月1日 冬季休暇のご案内

【コラム】

当事務所は12月28日(月)から1月3日(日)まで冬期休暇とさせていただきます。

ただ,代表弁護士中山は携帯端末で365日対応できます。
よろしくお願いいたします。

2015年12月1日 バンコク・レポート

【コラム】

代表弁護士の中山達樹が出張でバンコクに行って参りました。

現在のバンコク事情などを簡単にレポートします。

⑴ 景気

タイでは,景気後退が盛んに論じられています。聞くところによれば,軍事政権成立による公共投資の停滞が大きな理由のようです。

政権が安定して先行きの不安がなくなれば,景気は上向きになるのでは,という意見が多くありました。

⑵ 王室

87歳と高齢のブミポン国王の後継者問題が,相変わらず庶民の関心を集めています。

今年8月に行われたBike for Mom に続いて,Bike for Dadという自転車に乗るキャンペーンをしており,後継者候補の1人である国王の長男が喧伝されていました。

12月5日はブミポン国王の誕生日。国王が,国民の前に姿を見せるほど良好な健康状態にあるかが,注目されています。

⑶ 軍事政権

クーデター前のインラック前首相が掲げたコメ買取政策を引き継ぎ,軍事政権にがコメを買い取ったので,その買取資金を確保するための税収確保等の締め付けが厳しくなっている,という情報もありました。

タイでは,「クーデター」(フランス語,語義は「国家への一撃」)は,日本語とは異なるプラスのイメージで捉えられることが多く,軍事政権下であるから即不安定であると断じることはできません。

東南アジアではタイは先進国ですが,そのタイでも軍事政権があるということは,民主政を効果的に機能させることができていない,ということです。

これは,我々が,ともすれば当然と思いがちな,「民主政」そのものに対する示唆というか刺激的な視点を与えてくれているように思います。

⑷ M&A

日系企業がタイ企業を買収する動きが活発になっている,という情報もありました。買収に値するタイ企業が増えてきたのかもしれません。

海外の法律の中でも,タイ法は私の最も得意とするところです。買収に関する法的または実務的なことなど,遠慮なくご質問ください。

⑸ タイの富裕層や庶民

タイでは,富裕層が発達してきており,日本旅行に気軽に行く人も増えてきています。実際、例えば渋谷のドンキホーテにタイ語の表示がされているように,タイからの日本への観光客が非常に増えているのを実感します。

なお,女性がタイでは元気ですが,厚化粧というか洗練されていない化粧が目につきました。日本の洗練された化粧技術などは輸出してビジネスにならないのかな…などと考えました。

⑹ 日本人弁護士

私が今年7月まで所属した三宅・山崎法律事務所は,22年前の1993年にバンコクオフィスを開いて日本人弁護士を派遣し,「アジアに拠点を開いた最初の日本の法律事務所」です。

それから22年経った現在,バンコクには15人程度の日本人弁護士がいるそうです。隔世の感がありますが,これからどんどんこういう時代(国境を越えて日本人が活躍する時代)になっていくのでしょう。

⑺ タイ法律事務所

ある案件で,4つのタイの法律事務所を回ってきました。いろいろ比較して,やはりコミュニケーションの軸となる「英語の質」が非常に大事だと感じました。コミュニケーションに不安が残ると,依頼をしづらくなるからです。

これは,我々自身が,海外の弁護士から,我々の英語の質を吟味されていることを意味します。

「英語なんかきれいな英語ではなくても通じればいいや,ブロークンでも」という開き直りが大事な場合も多いです。
もっとも,やはり国際法律事務所としては,英語の質は飽くなき向上を目指さなければいけないと,改めて肝に銘じました。

2015年11月20日 「スリランカセミナー」のご案内

【コラム】

代表弁護士中山達樹が,以下の日程で「知られざる投資の楽園」スリランカセミナーを行います。

■2016年1月18日(月)午後 
「スリランカ進出実務と『税務/会計』・『法務』の基礎」セミナー(企業研究会)

■2016年1月26日(火)午後 
「スリランカの投資環境・税務・会計・法務 進出における留意点」セミナー(日本ナレッジセンター)

■2016年1月29日(金)午後 
「スリランカ進出に関わる税務・会計・法務の特徴と課題」セミナー(経営調査研究会・金融財務研究会)

■2016年2月3日(水)午後 
「スリランカの投資環境・税務・会計・法実務」セミナー(金融ファクシミリ新聞社)

おそらく日本で初めての本格的なスリランカセミナーとなります。
スリランカの投資メリット・魅力・進出リスク・他国との比較等を知りたい方は、奮ってご参加下さい。

当事務所のクライアント様には,ほとんどのセミナーで割引料金をご利用いただけます。
遠慮なく当事務所問い合わせ窓口までご連絡ください。

2015年11月10日 スリランカ・レポート

【コラム】

10月初旬に、代表弁護士の中山達樹がスリランカ出張へ行って参りました。
来年1月からスリランカ進出法務セミナーを行います。それに先立ち、いくつかスリランカ情報をご紹介します。

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スリランカ概要
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人口は約2000万人、国土面積は北海道の8割くらい。
70%は仏教徒。日本人と親和性があります。

数年前までは内戦状態にあったことと、親中政権下であったことから、日本からの投資ははっきり言ってまだまだです。
その分、いわゆる先行者利益を手にすることができるので、「知られざる投資の楽園」といえます。

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物流の拠点
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日本からの距離は9時間で、スリランカ航空の直行便があります。メルカトル図法で考えると、かなり遠くにあるように感じますが、直線距離で考えると、シンガポールのちょっと先、案外近いです。

スリランカは、アジア物流のGatewayとしての注目が集まっています。スリランカからドバイ、インド、アフリカにいく拠点・ハブとしての地政学的利点が注目されています。

シンガポールとドバイの中間に位置しており、スリランカから ドバイまで4時間 シンガポールまで4時間 。
世界のタンカーの3分の2、世界のコンテナの2分の1がスリランカ沖を通っているそうです。

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その他
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一人当たりGDPは約年間3500ドル。これはインドの倍、 バングラデシュの三倍くらいです。
識字率も95%と高いです。進出日本企業は100社程度らしいです。
このように、スリランカは非常に投資先としての魅力に富んでいます。

東南アジアビジネスが、"Go west"のように西漸化し、西へ西へとフロンティアを求める傾向にあります。ミャンマーの次はバングラデシュ、という具合です。スリランカもその同じ延長線上にあります。

詳細な情報は来年1月以降のスリランカセミナーでご案内差し上げます。

2015年11月10日 ドバイ・レポート

【コラム】

代表弁護士中山達樹が、10月中旬にドバイに出張してきましたので、簡単にご報告差し上げます。

ドバイで行われたIPBA(環太平洋法曹協会)の Mid-Year Council Meeting に、同協会のスカラー委員会委員長として出席してきました。
40人程度の国際会議でした。「(特に国際)会議では常に一番最初に挙手して発言する」ことを自らに課していますので、幾度か積極的に発言してきました。

来年のクアラルンプールの年次総会からは、スカラー委員会委員長を退任して、より責任の重い、メンバーシップ委員会の副委員長に任命されることになりました。
半年後からはIPBAの役員となることになるので、その自覚を持って、気を引き締めて、日常業務にも励まねばならないと思いました。

ドバイ(アラブ首長国連邦)では、石油が潤沢に摂れるからでしょう、法人税、付加価値税、所得税いずれも(基本的に)存在しないことを知りました。
もっとも、いわゆる地元の人間はわずか10%くらいしかおらず、他の90%は他国からの移民で成り立っているそうです。

石油が取れなくなったときに、国として存続できるのか、国としてのアイデンティティーを維持することができるのか、そんな心配をしました。
砂漠の中に作った国だからでしょう、空気が極めて乾燥しており、風邪を引く参加者が多かったのが印象に残っています。

2015年11月10日 ニューヨーク・レポート

【コラム】

代表弁護士中山達樹が、11月初旬にニューヨークへ出張へ行って参りましたので、簡単にご報告差し上げます。

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来てみれば さほどでもなし 富士の山
釈迦や孔子も かくやありなん
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NYに来て思うのは、長州藩村田清風のこの述懐です。

富士の山が高い高いと長州では聞いていたが、実際に見てみると大したことないじゃないか。釈迦や孔子のようなお偉いさんだって、大したことあるまい、という剛毅な歌です。

NYでも同様のことを感じます。まずはインフラ。公共交通機関の利便性は日本に遥か及びません。ニューアーク空港から電車でマンハッタンまで行こうとしたら時間の掛かること… 2時間以上は優に掛かりました。

日本にいるとどうしても成田空港から都心までの遠さを自虐的に思うことが多いですが、どうしてどうして、NYだって大して変わらない。
道路の舗装の汚さ、ゴミの多さ、街の臭さ。。 六本木の電線の汚さを私は非常に嫌っておりますが、日本の方が全然マシですね。。

聞けば、バス・電車が停留所をすっとばしたり、果てはオフィスの停電まで起こるとか。


自転車好きな私は、2日間ずっとレンタルサイクル(これは便利、1日10ドルくらいで、乗り放題。ただし、一度の利用は30分以内ではないと追加課金される)を利用しましたが、道路の凸凹には難儀しました。。。

日本人にはどうしても「花の都」というイメージがありますが、規模(美術館など回らない限り、マンハッタンは1日あれば十分見て回れる)も設備も、別に…というのが正直な感想かもしれません。


NY在住の日本人には知人が、「NYは発展途上国ですよ」と言っていたのが極めて印象的でした。
もう一つ、シンガポール時代の友人がNYの法律事務所で弁護士をしていまして、彼から聞いたのは、メイドさんの給料が月3000ドル(30万円強)!
滞在したホテルも、価格の割には…というレベルでしたし、物価の高さには舌を巻きました。


なお、多くの人に質問しましたが、アメリカ人の中で、NYを訪れたことのある人は、20%くらいではないか、とのことです(アメリカ人弁護士はほぼ100% NYを訪問したことがあるそうです)。

2015年11月10日 ニューオーリンズ・レポート

【コラム】

代表弁護士中山達樹が、ニューヨークに続いてニューオーリンズ(ルイジアナ州)に出張に行って参りましたので、簡単にご報告差し上げます。

NAPABA(アジア・太平洋系アメリカ弁護士会)の年次総会に、昨年に引き続き出席して来ました。日本人弁護士の出席者は私のみと思います。

昨年のアリゾナ州フェニックスでの総会と異なり、異国情緒溢れるニューオーリンズでの会議は刺激的でした。

会議の合間を縫って、フレンチクオーター(植民地時代からの街並み、ジャズが有名)、ガーデンディストリクト(ハリウッドセレブなども住む高級住宅街)、セントルイス第一墓地(映画『イージー・ライダー』の舞台)などの観光もして見聞を広めて参りました。

NYとは全く違う気候と、人々の気質・アクセント、そして街並み。。 一度の旅で全く違うアメリカを経験すると、まさにこの国は United Statesつまりいろんな州の集まりなのだなと実感しました。

昨年はアリゾナのだだっ広さに圧倒されましたが、ニューオーリンズの牧歌的というか享楽的な様子は、ニューヨークの生き馬の目を抜く競争の激しさと合わせて、いろんなアメリカの側面を私に示してくれました。

そんなアメリカないし世界の中で、私及び中山国際法律事務所がどのような立ち位置及び存在意義を示せばいいのか、いろいろな思いを巡らせてきました。

中でも強く思ったのは「恵まれている立場にいる人は挑戦しなければいけない」という思いです。NYでもニューオーリンズでも、挑戦できない立場に置かれている人をたくさん見てきました。

挑戦できる立場にある人は、挑戦できるうちに挑戦しないと。そんな思いを強くしました。
これからもいろんな挑戦を重ねて行こうと思います。

2015年10月26日 「中山国際法律事務所 事務所内ルールのご紹介」

【コラム】

事務所内ルールの一部をご紹介します。

世界最高の環境で世界最高の仕事をするために,以下を心がけています。

(1) コミュニケーション円滑化

1 メールを受信したら12時間以内にfeedbackする

2 言い訳をしない

3 「ありがとうございます」等のPositive Feedbackを意識的に心がける

4 所内メールは原則使わない

 例外:A 備忘・記録の為
    B ファイルを添付する場合
    C 情報を共有する必要がある場合
 ・ネガティヴ感情はメールしない
 ・所内では,謝罪とお礼はメールではなく口頭で

5 週1回,全員でランチorお茶でコミュニケーションを取る(月初めは外食ランチ)

6 中山を中山センセイと呼ばない(垣根を低くしてコミュニケーションを活発にするため。中山は,業務上は各弁護士には「○○先生」と呼称する)

(2) 業務効率化

1 結論から話す。極力,手短に話す。

2 書類を平積みにしない。

3 どうしますか?というOpen Questionのうかがいは立てない。自ら結論を考える。Think big, think different, think beyond, think desperate (大きく考え,人と違うことを考え,人よりさらに先を考え,死ぬほど=頭から血が出るほど考える)!

4 単語登録やショートカットを活用する

5 メールの件名は正確に。

理由:
 A 受信者にスルーされないため
 B 後で検索しやすくするため

6 裁判の期日報告書は,期日終了後1時間以内に作成する

7 毎週月曜10時~ 5分でも10分でも,清掃整理整頓(デスクトップや共有フォルダも含む)

8 ワード等文書のタイトルには,2015年7月13日作成であれば「150713」(半角)で始める

(3) その他

1 リーダーシップを持つ。中山が運転する車に乗るのではなく,中山を助手席に乗せる感覚で,自分で運転する

2 コスト意識を持つ

 ・1分の無駄は年間で半日=時間制報酬換算で約20万円
 ・「探し物をする」時間を極力なくす。全ての書類は10秒以内にアクセスできるようにする
 ・10センチ四方=年間で約650円の管理コスト→不要なものは捨てる

3 目標を立てる

4 仕事関連でご馳走になったら朝イチまでにお礼のメールをする(中山には不要)

職場でのルールや習慣について,良いアイディアがございましたら是非教えてください。

2015年09月01日 Be the change の意味

【コラム】

ロゴに入れたFirm Messageとしての「Be the change」の意味をご説明差し上げます。

ガンジーの言葉とされる You must be the change you wish to see in the worldから取りました。「世界を変えたいと思うなら,まず自分が変われ」というほどの意味です。批評する者となるのではなく,批評される者でありたい,という気持ちを込めています。

また,加速度的に(Exponential)進化するビジネスと世界のあり方において,常にアンテナを張って,フロントランナーでありたい,という思いも込めています。

2015年05月26日 シンガポール・レポート

【コラム】

中山達樹です。シンガポール・レポートをお送りいたします。

3月23日,シンガポール建国の父リー・クアンユー元首相が亡くなりました。35歳で首相になってから生涯にわたりシンガポールをリードしてきた偉大な政治家でした。葬儀の列には,10時間も並ぶ人がいました。

■ 日本軍の影響

先の大戦中,シンガポールは「昭南島」として日本領でした。占領した日本軍の圧制に,当時20歳前後であったリークアンユー氏は大きな影響を受けました。端的には,日本軍的な「スパルタ」が国の経営に役立つ,というものです。彼の自伝にはこう記載されています:

I learnt more from the three and a half years of Japanese occupation than any university could have taught me. (どんな大学が私に教えてくれることよりもより多くのことを,3年半の日本軍の占領から教わった)

今でもシンガポールには鞭打ち刑があります。これは,日本軍の影響を色濃く受けたリークアンユー氏個人の意向が強いのではと私は思っています。

■ 最近の日本に対する辛辣な意見

最近の彼のインタビューでは,若年人口が減少する人口動態などに鑑み,日本に対して非常に悲観的な意見を述べています。いくつか引用しますと:

More likely than not, this is a nation strolling into mediocrity. (日本は平凡に堕する国だろう)

If I were a young Japanese and I could speak English, I would probably choose to emigrate. (もし私が若い日本人で英語が話せれば,おそらく日本から外国に移住するだろう)


このように言われて悔しい気持ちもしますが,我々がなんとかして日本を良くすることで,泉下のリー氏を見返してやらねばという気がしています。

2015年05月19日 香港レポート

【コラム】

中山達樹です。香港で行われました第25回環太平洋法曹協会(IPBA)の年次大会に出席して参りましたので,ご報告差し上げます。IPBA年次大会への参加は8年連続になりました。

■ IPBA創立から四半世紀

環太平洋法曹協会(IPBA, Inter-Pacific Bar Association)は,当事務所の三宅能生弁護士ら日本人弁護士が中心となって創立した弁護士の国際団体です。全世界に約1500人程度の会員がいます。

日本人が創設し,長く活動している大規模な国際団体として,非常に稀有なものです。今後も,多くの日本人弁護士の方に積極的にご参加いただき,国際社会における日本人のプレゼンス・発言力向上に役立てていただければと願っております。

■ Japan Nightの開催

毎年,大会初日のWelcome Receptionの後に開かれることが恒例となっているJapan Nightを,今年も開催しました。お陰さまで約180名の国内外の弁護士にお越しいただき,大変盛況となりました。

来年のクアラルンプル大会でも,大会初日の夜(2016413日のWelcome Receptionの直後)に,さらに盛大なるJapan Nightを開催することを予定しております。日ごろ接しない日本人弁護士同士,及び,海外の弁護士との積極的な意見交換・交歓の場として,多くの皆様に楽しくご利用いただけることを今後も切に願っております。

■ Scholarship Committee(スカラー委員会)

スカラー委員会の副委員長として,スカラー(途上国からの弁護士や若手弁護士)で構成されるセッションでスピーカーを務めました。

日本文化や日本の法制度の特徴についていくつか発言しました。多くのパネリストがいる中で,ユーモアを利かせ,セッションを盛り上げる発言ができればと思っていました。どれほど目標が達成できたか不明ですが,来年からも機会があれば積極的にスピーカーを務めたいと思います。

■ 香港法廷

スカラーシッププログラムの一環として,香港の高等裁判所を見学しました。裁判官,弁護士や検事が,法廷でカツラを被っているのが印象的でした。

聞くところによると,英国の植民地であったことから,本場の英国よりも,英国的伝統を固持している点が多いそうです。

■ パーティ

After Partyと銘打ったクラブでのダンスでは,「YMCA」の曲に合わせて「I-P-B-A!」の振り付けをして皆で踊りました。

これが余りにも楽しかったので,大会後,「このYMCAソングをもじった「IPBAソング」を毎年の年次大会で演奏し,IPBAのオフィシャルソングにしよう」と,次期会長(クアラルンプル大会のホストコミッティ委員長)Dhinesh氏に提案したところ,快諾を得ました。

IPBA会員の皆さん! 来年以降,YMCAソングが演奏されたら,みんなで「I-P-B-A!」のご唱和とダンスをよろしくお願いします!

■ その他

数時間の合間を縫って香港観光はPeakへ行きました。香港市外が一望できる山の頂上付近にある場所です。聳え立つ摩天楼を臨む光景は絶景でしたが,シンガポールと異なり,高層ビル自体のデザインがそれほどお洒落ではないと感じました。

なお,数日滞在しましたが,香港ではバイクをほとんど見かけなかったのが非常に不思議に感じました。 

■ 来年

来年のIPBA年次大会は,4月13日から16日,マレーシアの首都クアラルンプルで行われます。多くの皆様のご参加をお待ちしております。

2015年02月23日 「コンプライアンス」概念について

【コラム】

中山達樹です。「コンプライアンス」という言葉が使われるようになって久しいですが,「不正リスク」と「コンプライアンス・リスク」の違いについて考えてみます。

巷間,これらは,同意義であるかのように論じられることもあるようです。しかしながら,昨今のコンプライアンスに関する意識の変化にかんがみると,単なる「不正リスク」と「コンプライアンス・リスク」とは,似て非なる概念であり,使い分けるべきではないかと考えています。

1 「コンプライアンス」という概念の変化

こちらの図をご参照ください。コンプライアンスという言葉は,最近,単に「法令遵守」にとどまらず,「社会の要請に対する適切な対応」を広く含むように理解されるようになっているようです。

例えば,ある会社が,残業時間の管理などでたとえ法律を守っていても(=法令遵守はしていても),経営者がマスコミに対して強権的で傲慢な姿勢を示したりすると,その前時代的な好ましくない姿勢が,「ブラック企業」という風評を生んでしまったりします。

これは,法令に違反するかという次元とは別に,コンプライアンス体制の整備に不熱心であるということそのものが,「ブラック企業」というレッテルを貼られる原因になっているといえます。

2 不正リスク

上記PDF左側の図のように,「不正リスク」は,法令を遵守しないときに発生するものといえます。

そして,不正行為の発覚の可能性に応じて,その不正リスクが「高い/低い」という表現をすることができるように思います。

3 コンプライアンス・リスク

一方,「コンプライアンス・リスク」は,上記1のようなコンプライアンス概念の変化を踏まえますと,<社会からの要請に対する適切な対応>を欠いている場合に発生するものです。このコンプライアンスがなければ即「ブラック企業」というレッテルを貼られかねません。

そのため,コンプライアンス・リスクは,「高い/低い」という次元ではなく,それ(コンプライアンス体制の整備)が「あるか/ないか」という問題ともいえます。そして,コンプライアンス体制不備が即ブラック企業という悪評に繋がりかねないことからすると,「コンプライアンス・リスク」は,「不正リスク」よりも,企業にとっての危険性が高いともいえそうです。

4 適切なコンプライアンスのために

このように,コンプライアンス概念が<社会の要請>に対応するものであるとすれば,コンプライアンスの内実は本質的に流動的であり,社会の要請に対応して変化していくものといえます。

そうすると,適切なコンプライアンスを整えるためにも,<社会が企業に何を要請しているか>という点に常にアンテナを張っている必要があるといえます。

2015年02月22日 海外競争法

【コラム】

中山達樹です。日系企業が数百億円を超える課徴金を課される事案が増え,海外競争法のリスクが広く認識されるようになりました。3月にいくつか海外競争法セミナーを行いますが,海外競争法の概要を簡単にお知らせします。

1 独禁法? 競争法?

そもそもいずれの名称を用いるべきでしょうか。日本や中国では独禁法,米国では反トラスト法,欧州では競争法… 名称が統一されていないために,分かりにくい部分があります。

結論から申し上げますと,日本人に慣れ親しんだ「独禁法」ではなく,「競争法」を用いることをお勧めいたします。なぜなら,この分野で最もリスクが高く重要なカルテルに関連して,日系企業の危機感を醸成するためには,競争法の方が適切だからです。

つまり,カルテルに従事している当事者に,「独占禁止」法に抵触しているという意識はありません。何も「独占」なんてしていない,と考えているからです。

一方,カルテルは,不公正な「競争」をする行為として認識され,広く世界中で処罰されています。カルテル従事者に注意喚起するためにも,「独占禁止」法よりも,「競争」法と呼称する方が適切だと思います。

2 アジアでの執行ラッシュ

アジアの多くの国で競争法が施行されるようになったのは,つい最近の2000年以降になってからです。2000年以降に競争法を施行したアジア主要国は,以下のとおりです。

 2000年 インドネシア

 2005年 ベトナム

 2006年 シンガポール

 2008年 中国

 2009年 インド

 2012年 マレーシア

 2013年 香港

なお,フィリピンにはまだ包括的な競争法は存在せず,現在法案が国会を通過した段階です。法令が成立したりするなど進捗があり次第,更新いたします。

3 海外競争法の3本柱

海外競争法は,基本的に,以下の3分野を「3本柱」として捉えています。

 (1) 共同行為

  …カルテルのような水平的制限。垂直的な協定もここに含めて考えます。

 (2) 単独行為

  …典型的には,支配的地位の濫用です。

 (3) 企業結合

  …事前届出を行わせるのが一般ですが,そうでない規制もあります。

4 日本独禁法の基本体系

一方,日本の独禁法は,上記3の海外競争法の3本柱とは異なる,いびつな構造を有していると謂われています。端的には,(市場シェアを問わない)優越的地位の濫用規制を含む「不公正な取引方法」が規制されている点などが,「ガラパゴス化」しているなどとも言われています。

これは,終戦直後の1947年,GHQ主導の下に時期尚早に急遽制定されたため,立法の過誤があったりすることなどが原因と言われています。

5 最近の執行強化の背景

最近は,国際的に,競争法に対する規制が強まっています。その背景には以下が挙げられます。

 (1) 域外適用

 これは,「他国で行われた行為に,自国の競争法を適用できるか」という問題です。近年は,「海外で行われた行為の効果が国内に及ぶ限り,自国の国内法としての競争法を適用できる」という効果主義の考えが広まり,積極的に域外適用すなわち多くの競争法の適用が行われています。

 (2) リニエンシー拡大

 リニエンシー(課徴金減免制度)は,1993年に米国で導入されたのを嚆矢として,1996年に欧州,2006年に日本,2009年に中国,シンガポール,インド,2012年にマレーシアで導入されました。

 これにより,競争当局に,捜査の端緒としての多くの情報が集まるようになりました。

 (3) 国際連携

 各国政府は,ICN(国際競争ネットワーク),二国間協定,インターポール(国際刑事警察機構)などを通じて,競争法の施行強化に努めています。

 (4)  フォレンジック調査

 フォレンジックというのは,犯罪調査という意味です。競争法の分野では,主にパソコンから,そのパソコン内にある,そのパソコン利用者に関する様々な情報を検索するという文脈で使われます。


以上が海外競争法の簡単な概要です。また詳細を適宜,こちらで更新いたします。

以上

2015年02月11日 アジア・ASEAN祝日カレンダー2015

【コラム】

中山達樹です。アジア・ASEAN諸国の,祝日を紹介します。こちらも一覧性があります。

「え,今日は向う(海外)休みだったの!?」ということがないように,皆様の海外ビジネスの展開(先を見越したプロアクティブな戦略設定)に,お役立てください。

*祝日が日曜の場合、次の月曜日が祝日

■ 中国
1月1日New Year’s Day
2月19日~21日 Lunar New Year’s Day
3月8日* International Women’s Day
5月1日 Labour Day
6月20日 Dragon Boat Festival
9月27日* Mid-Autumn Festival
10月1日~3日 National Day

■ 香港
1月1日 New Year’s Day
2月19日~21日 Lunar New Year’s Day
4月5日* Ching Ming Festival
4月6日 Easter Monday
5月1日 Labour Day
5月25日 Buddha’s Birthday
6月20日 Tuen Ng Festival
7月1日 SAR Establishment Day
9月27日* Chinese Mid-Autumn Festival
10月1日 National Day
12月25日 Christmas Day

■ インドネシア
1月1日 New Year’s Day
1月3日 Prophet’s Birthday (Muslim)
2月19日 Chinese New Year
4月3日 Good Friday (Christian)
5月14日 Ascension Day
5月16日 Lailat al-Miraj (Ascension of the Prophet)
6月1日 Vesak Day
7月17日~18日 Eid al-Fitr (Muslim)
8月17日 Independence Day
9月24日 Eid al-Adha (Muslim)
10月14日 Islamic New Year
12月25日 Christmas Day

■ 日本
1月1日 New Year’s Day
1月12日 Coming of Age Day
2月11日 National Foundation Day
3月21日 Vernal Equinox Day
4月29日 Showa Day
5月3日 Constitution Memorial Day
5月4日 Greenery Day
5月5日 Children’s Day
7月20日 Marine Day
9月21日 Respect Day
9月22日 Autumnal Equinox
10月12日Health-Sports Day
11月3日 National Culture Day
11月23日 Labour Thanksgiving Day
12月23日 Emperor’s Birthday

■ マレーシア
1月1日 New Year’s Day
1月3日 Birthday of Prophet Muhammad
2月19日~20日 Chinese New Year
5月1日 Labour Day
6月1日Wesak Day
6月6日 Birthday of DYMM SPB
7月17日~18日 Hari Raya Day
8月31日 Hari Kebangsaan
9月24日  Hari Raya Haji
10月14日 Awal Muharram
11月10日 Deepavali
12月25日 Christmas Day

■ フィリピン
1月1日 New Year’s Day
2月25日 Edsa Revolution Day
4月3日 Good Friday
4月9日 Bataan Day
5月1日 Labour Day
6月12日 National Independence Day
8月31日 National Heroes Day
11月1日 All Saints’ Day
11月30日 Bonifacio Day
12月25日 Chirstmas Day
12月30日 Rizal Day

■ シンガポール
1月1日 New Year’s Day
2月19日~20日 Chinese New Year
4月3日 Good Friday
5月1日 Labour Day
6月1日 Vesak Day
7月17日 Hari Raya Puasa
8月9日 National Day
9月24日 Hari Raya Haji
11月10日 Deepavali
12月25日 Chiristmas Day

■ 台湾
1月1日 New Year’s Day
2月19日~21日Chinese New Year
2月28日 Peace Memorial Day
4月5日* Ching Ming Festival
5月1日 Labour Day
6月20日 Dragon Boat Festival
9月27日* Mid-Autumn Moon Festival
10月10日 National Day

■ タイ
1月1日 New Year’s Day
2月19日~21日Chinese New Year
4月6日 Chakri Day
4月13日~15日 Songkran Festival
5月1日 Labour Day
5月5日 Coronation Day
6月1日 Visakha Bucha
8月12日 Queen’s Birthday
10月23日 Chualongkorn Day
12月5日 King’s Birthday
12月10日 Constitution Day
12月31日 New Year’s Eve

■ ベトナム
1月1日 New Year’s Day
2月19日~21日 Lunar New Year
4月28日 Gio to Hung Vuong Day
4月30日 Saigon Llberation Day
5月1日 Labour Day
9月2日 National Day

2015年02月02日 シンガポール e裁判

【コラム】

中山達樹です。日弁連・弁護士業務改革委員会ITプロジェクトチームからの委嘱を受け,シンガポールの電子裁判(e裁判,eLitigation)につき,シンガポールの現地法律事務所に聴取りをするなどして,現状を調べました。簡単に概要をご報告差し上げます。

1 EFSから電子裁判(e裁判)へ

シンガポールでは,日本と異なり,裁判書面を電子的な方法で提出するシステム(Electronic Filing System, "EFS")を運用していました。これは,日本のように,ファックスや紙の媒体を用いて裁判書面を提出するのではなく,PDF形式にして,オンラインで提出するというものでした。

しかし,シンガポールは,2013年以降,EFSをさらに発展させ,一歩も二歩も進んだ電子裁判(e裁判)制度(eLitigation, eLit, Integrated Electronic Litigation System, iELS)の導入を進めています。

2 e裁判の主な特徴

 従来のEFSと比較して,e裁判の主な特徴を挙げると,以下のとおりです。

(1) 書面提出(ファイリング)だけではなく,案件管理(Case Management)ができる

従来のEFSでは,基本的に,「裁判書面がオンラインで提出できる」ということに機能が限られていました。そのため,この制度の利点を享受することができるのは,基本的には,弁護士や法律事務所スタッフに限られるといえ,この制度の利用関係は,裁判所と自分との間の双方向(bilateral)のみであるといえました。

一方,新しく導入が進んでいるe裁判では,弁護士及び当事者が,その事件において提出された書面を,オンラインで閲覧・管理することができます。しかも,自らが提出した書面のみならず,相手方から提出された書面を見ることができたり,裁判書面の閲覧請求をした第三者の氏名を知ることができたりもします。その意味で,この制度は,双方向のみならず,原告,被告と裁判所とを含めた,3者間(trilateral)の関係がオンライン化されているということができます。

また,e裁判においては,ログインすれば,①裁判所との連絡,②期日・スケジュール管理,③発生した訴訟費用などを,一覧性のある形で閲覧することができます。また,Cause Book Searchという機能を用いて,(従来のLawNetよりも進んだ)判例検索等も利用できます。「裁判の進行・進捗等を,オンライン上で管理できるプラットフォーム」が構築されたというイメージです。

このように,単に,電子的に裁判書面を提出するにとどまらず,裁判の運用をオンラインで管理するという機能も併せ持ったのが,e裁判といえます。

(2) 書面作成が不要になった

EFS時代と同様,e裁判においても,非定型的な内容を持つ訴状等は,まだPDF形式での書面を作成しなければなりません。

一方,e裁判においては,例えば期日延長の申立てのような定型的な内容の書面は,わざわざPDF化した書面を作成する必要がなくなりました。オンライン上の指定箇所をクリックしていくだけで,用を足す(手続を進める)ことができるようになったのです。

(3) クラウド的に利用できる

EFS時代は,EFSを利用できるのは,指定のパソコンに限られていました。つまり,PDF化したファイルを送信するためには,法律事務所の,事前に登録した特定のパソコンから行う必要があったのです。

具体的には,EFS時代,弁護士は,外出していても,外出先からEFSを利用することはできず,事務所に戻って作業するか,事務所スタッフ(秘書)に対してPDF化したファイルを送信するよう,わざわざ指示を出さなければなりませんでした。スマートフォンからの利用はできませんでした。また,EFSを利用するためには,訴訟部門の専門スタッフを訓練する必要が生じ得るなど,利便性には問題がありました。

一方,e裁判では,SingPassという,(弁護士のみならず)シンガポール国民等に与えられたIDを用いることによって,いつでも,どこでも(例えば日本のような外国からでも),どの端末からでも,e裁判制度を用いることができるようになりました。利便性も,EFSに比べて,はるかにUser-Friendly, Self-Explanatory(見れば分かる,使い手にやさしい)ものになりました。

これは,将来的には,このe裁判制度の利便性を享受できるのが,弁護士・法律事務所だけではなく,一般国民であることが想定されているからです。つまり,どの国民も,このe裁判を利用することによって,裁判制度を身近に感じることができるようになるということです。

3 日本の司法制度への示唆

日本でも,裁判員制度が導入されるなど,「国民に身近な司法」が志向されています。その観点からも,シンガポールのe裁判は,非常に参考になると思います。

また,日本の裁判制度が国民に利用しやすくなるだけではなく,海外の外国人にも利用しやすくなる(ないしは分かりやすくなる)ことが,究極的には,日本と海外との取引の増加や,日本への外資の導入に役立ちます。その点でも,e裁判のような制度を導入することが参考になるかもしれません。セキュリティ対策などで莫大なコストはかかりますが…。


以上簡単にご報告します。さらに追加情報等が入りましたら,またご報告差し上げます。

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